2013年7月15日月曜日

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2013

2004年に始まり、今年で10回目を迎えるIDCF(International Digital Cinema Festival)。2003年にオープンしたSKIPシティ(埼玉県川口市)で毎年開催されてきた。SKIPシティの「SKIP」とは、「Saitama Kawaguchi Inteligent Park」の略なんだとか。川口駅から、ほぼ20分おきに無料バスが出ており、所要時間は約12分。(帰りのバスも、同様。)川口までも遠いし、そこから更にバス!?という時点で、怠惰で中央集権的(笑)な私としては参加を検討すらしたことなかったが(そもそも、始まった頃は最も映画から遠ざかる生活をしていた時期でもあったし)、一昨年のオープニング作品がヌリ・ビルゲ・ジェイランの『昔々、アナトリアで』ということを知って駆けつけみると、他の映画祭や特集上映などとは全く異質な空気につつまれて、映画祭のイメージが変わった(というより、広がった)貴重な体験に。海外の映画祭についてしばしば語られる地域密着型という表現を初めて日本で(というか、首都圏で、か)体感できた新鮮さ。「シネフィル」大集合に充満するギスギスやピリピリとは無縁の、東京よりも些か空も広めの、ちょっとだけ周縁な、厭なとこをちょこっとスキップ、そんな川口で過ごす和やかのんびりフェスティバル。

というわけで、爾来3年連続で参加することにしたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭。繁忙期真っ只中、三連休も三連勤、怪物大学も野性速度も観られていないまま、それでも時間を捻出し、まずはとりあえず二本観て来た日曜日。

何とか昼に仕事場を抜け出して、昼食もとらずにSKIPシティに駆け込むと、まずは「あるはず」だったファミリーマートを捜してみるが・・・無い。周辺には何も(といったら怒られるか)ないので、こいつは困った・・・と思ったら、ファミマがあった場所が休憩所になっており、そこには手作りパンの出張販売が。(ちなみに、タリーズも奥にはあったりする。)そこで、折角だし(?)その休憩所でランチを素早くとることに。サンドイッチとパンを買い、缶コーヒー飲みながら、おだやかな昼食。「ザ・簡易」といった趣のその休憩所には、来日中の監督や通訳の方なんかも昼食をとっていて、相変わらずのIDCFらしさを体感。

客層は中高年(とくに年配の方)が多めだったりするのもIDCFの特色。しかし、イタリア映画祭のややハイソ的シルバー層やフランス映画祭の有閑マダムとは違った様相で、年に一度のお祭りを楽しみにしている&青春時代に娯楽の王様だった映画への憧れに今一度胸躍らせてやって来る地元の方々が主だったりする。始まるまえの情報交換も、観賞後の感想も、至って気さくな即興曲。衒学始終騒とは無縁の空気に、深呼吸(笑)

観賞料金も良心的で、コンペ1本が800円(前売だと600円)。コンペ3回券は2,100円(前売だと1,500円)。前売だけで販売されてるフリーパスはなんと3,000円(長編12作品と短篇4プログラムがいずれも観られる)。主催している埼玉県および川口市からの相当な助成によって運営されているのではあろうが、そんな価格設定も地元民からの支持との相関関係だったりするのかも。(とか余所者は思ってみても、実際は地元民の大勢は何とも思ってないor疎ましがってるってこともあるのかもしれないけどね。)

前述のファミマ消失と並んで、でもこちらは嬉しい変化だが、今年はシネスコ作品の上映がスクリーン拡張で上映されている!(ということは、座る位置[個人的ベスポジ]が変わるということでもある。) 昨年までは、作品によってはスクリーン拡張によるシネスコ上映もあるにはあったが、基本的にはビスタサイズに上下黒帯で投影するパターンがほとんどだった。椅子の形状に関しては、個人的にはちょっと難ありな気がするものの(背もたれがほんのちょっとね・・・でも、全然普通の劇場椅子レベル)、画質含め上映環境は極めて良好な映像ホール。(実は、もう一方の会場である多目的ホールでの上映は観たことがない。)スクリーン拡張によるシネスコ上映はなかなかの迫力あり。但し、シネスコ作品で画面の外に字幕が出るタイプのものもあるようで、その場合は上下黒帯タイプでの上映かもしれません。

とりあえず今週の平日は仕事も一段落し、何度か川口まで足を運べそうなので、初めてのMOVIX川口にも足を伸ばしてみようかと。(川口駅より徒歩8分らしい) 他にも川口駅前には川口市立中央図書館メディアセブンなんかも入っているキュポ・ラというビルがあり、のんびりまったり文化的に過ごす休日には恰好な街にも思えます。あ、ちなみにSKIPシティ彩の国ヴィジュアルプラザにも映像ミュージアムや映像公開ライブラリーなんかもあって、巧いことやれば有意義に時間がつぶせそうだし、SKIPシティにある川口市立科学館にはプラネタリウム(平日は投影がないみたいだけど)もあったりします。

というわけで、何故か川口に何の縁もない私が宣伝部員のようになっている(気づけば「です・ます」調になっている)・・・ことからもわかる通り、なかなか居心地の好い町そして映画祭。初日(私にとっての)には、『フロントライン・ミッション』と『狼が羊に恋をするとき』を観てきましたが、感想は改めて。