2013年5月2日木曜日

SHADOWLAND

GWといえば、2つの「イ」フェスで毎年スケ管大童。イタリア映画祭の前売券発売日には、イメージフォーラム・フェスティバルのプログラムやスケジュールは未発表だったりするので、調整つく範囲で納得する大らかホリデイズ心がけ。今年のイメフォ・フェスも回数券(4回券)を買って、その分だけ観るような厳選スタイルという名の自主規制。

ようやく遅ればせながらの参戦となった1本目は、ジョナス・メカス「ウォールデン」(1969)。記号と記述と記録と記憶。映像が世界を再構築、脱構築。まさに至宝で至福な至上の時間。目眩く180分は、時間が溶解する体験。パークタワーホールのあの空間であの椅子で、180分間を難なく観賞できちゃう驚異。いや、あの「解放感」(椅子は動かせるし[いや、動かしちゃいけないですけどね]、後ろは広いスペース空いてて、疲れたり眠たくなったらラジオ体操でもしながら観られるし[いや、しませんけどね])こそが「ウォールデン」にはぴったりだったのだ。平日の午前中からの上映だというのに、そこそこの動員で、さすがのメカス人気を再確認。とはいえ、前方ブロックが人気で、後方ブロックは閑散として実にまったり観られる極私的絶好空間に仕上がっていた。(正直、有楽町朝日ホールより好いかも・・・。朝日ホールは椅子云々もだけど、とにかく前後左右のスペースが狭すぎて息苦しいし、隣りに人がいると「身動きとれない」感が半端なかったりするからね。その点、パークタワーホールなら、好くも悪くもフレキシブル!な空間だから。)

180分を完走してフラフラになるかと思いきや、むしろ止め処ないアドレナリン噴出的恍惚酩酊状態で場内明るくなるもんで、さすがに即座に現実に還る自信もなくて、ふらっとインスタレーション空間に立ち寄った。すると、そこに待っていた映像がまた、静かに別種のささやかな至福を提供してくれた。

五島一浩「SHADOWLAND」には魅了され、2回続けて観てしまったほど。14分の短篇で、夜の街角の風景をおさめた映像に、3D加工が施されてる(3Dメガネを掛けて観るのです!メガネは展示室の入口にあり、メガネonメガネでも大丈夫なタイプ)。劇映画で用いられる3D効果とは一味違った、立体感でも奥行感でもないレイヤー感な透明感。幾重もの影による多中心流動型協奏曲。「在るもの」による三次元というより、「在るだろうもの」が三次元化したようなセンス・オブ・ワンダー。

私はとても見入ってしまっていたのだが、他に立ち寄った人たちは皆数分程度で立ち去っていったので、もしかしたら誰もが面白がるような作品ではないのかもしれないけれど、落ち着いてじっくり見始めると他では味わいがたい世界の体現者になれるかも。(結局、1回目の後半からはずっと一人で観てたという贅時間。)

というわけで、もしパークタワーホールのイメフォフェス作品を観る機会があれば是非、ホール脇通路奥の小部屋で「SHADOWLAND」に誘われてみてください。