2013年4月17日水曜日

メイド・イン・ハンガリー

昨年のEUフィルムdaysで上映された『メイド・イン・ハンガリー(Made in Hungária)』が、BSスカパー!にて放映される。「スカパー! シネマアワーTHE PRIZE」というこの枠は、世界の映画祭で受賞した作品の中から劇場未公開作(DVD未発売のものもある)を毎週1本ずつ紹介する(全部で3回放映あり)なかなか貴重なプログラム。ここ2回は、先頃東京でも大盛況だったジョアン・ペドロ・ロドリゲスのレトロスペクティヴで上映された『男として死ぬ』と『オデット』が放映されたりというタイムリーさも。「スカパー!」に1チャンネルでも加入していれば見られるという無料放送。(もしくは、「2週間お試し体験」を利用するとその後も約1年間無料で見られるとのこと。)

アイルランドの事件簿』(DVDでのタイトルは、『ザ・ガード/西部の相棒』)が上映されるというので駆けつけたフィルムセンターで、その次の回に上映されたのが、『メイド・イン・ハンガリー』。監督も来日しQ&Aもあるというので、折角なのでついでに観た。そしたら、好かった!冷戦中の東欧に無邪気に射し込む麗らかな陽光を、ハリウッド帰りの監督が奇を衒うことなく王道ミュージカルで直球勝負。そうした成立事情に、あらゆる野暮が慈しむ心をくすぐり始めてしまう。

エンドロールにはモデルとなった歌手自身のコンサート映像も出てくる(お約束!)。そこで歌われるのが、「メイド・イン・ハンガリー」!アップテンポな中に哀愁と垢抜けない真面目さが滲む歌謡曲風味が何とも言えず好い味なのだ。(Q&Aの司会を務めた田中千世子さんが、この曲についての感慨を述べると、監督があっさりと「僕自身は、こういった湿っぽい歌謡曲は好きじゃないんだけどね」って淡々と返しているのが面白かった。その時の記事。)

ハンガリーの映画人といえば、最近ではタル・ベーラが真っ先に思い浮かんだりするが、本作はそうした芸術街道とは無縁のフリーウェイ。気軽に観ながら、素直な人間賛歌によろしく哀愁。