2013年4月25日木曜日

フランス映画祭2010

今年は6月21日(金)~24日(月)に開催されるフランス映画祭2013。オープニング作品は、フランソワ・オゾン「Dans la maison(In the House)」。今秋に日本でも劇場公開が決まっているようだけど、折角なので駆けつけたい。オゾン、来日したりしないかな。

さて、今週の早稲田松竹ではジャック・オディアール監督作が2本立で上映されており、『君と歩く世界』でようやくオディアール・ワールドに開眼した私は、何はともあれ当然必然駆けつける。

『真夜中のピアニスト』はスクリーンで観るのは初めて、『預言者』はフランス映画祭2010で観て以来。前者の魅力も粋ながら、やはり後者に感じる突き抜け飛翔感にはただただ感服しっぱなし。

実は、『預言者』をフランス映画祭2010で観た際には正直、咀嚼しきれぬまま2時間半が眼の前を流れて言ってしまった印象だった。或る意味、『君と歩く世界』においても同様の「読み」しか試みられなかったものの、実はそうした「流れ」こそが興奮の止め処ない源泉であることを発見し、淀みない陶酔へと誘われた官能。そんな体験を経て再会した『預言者』の再発見は、事件級の興奮で全身を貫いた。

帰宅後、『預言者』を初めて観たフランス映画祭2010のガイドブックを開いてみると、この年の上映作品が傑作秀作のオンパレード。アルノー・デプレシャンの『クリスマス・ストーリー』、ブリュノ・デュモンの『ハデウェイヒ』、ローラン・カンテの『パリ20区、僕たちのクラス』、ラデュ・ミヘイレアニュの『オーケストラ!』、そしてミア・ハンセン=ラブの『あの夏の子供たち』。他にも、ギャスパー・ノエやジャン=ピエール・ジュネの新作なんかも上映されて、とんでもない豪華さだった(劇場公開決定済の作品が中心ではあるものの)という事実を再確認。おまけに、この年はゲストも超豪華で、『クリスマス・ストーリー』からはデプレシャンのみならず、マチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニまでが登壇。ブリュノ・デュモンも、ローラン・カンテも、ラデュ・ミヘイレアニュも、ジャン=ピエール・ジュネも来日。ミア・ハンセン=ラブにも会えたっけ。関連企画としてユーロスペースでは、アラン・レネ全作上映があって、『風にそよぐ草』の初上映を観たのもそこでだったな(勿論、満席立見)。

その翌年(2011年)から有楽町朝日ホールに会場が変更されることが決まっていたところ、東日本大震災があり、その影響かどうかは定かではないがやや寂しいラインナップになったのが一昨年。(それでも、イオセリアーニが来日してくれたりしたのは嬉しかった。)

話を『預言者』に戻すと・・・だから、私が『預言者』を初めて観たのはTOHOシネマズ六本木の7番スクリーンだったわけだけど、早稲田松竹で観た方が何となく堪能できた気がしてしまった。勿論、客席の状況(映画祭は当然混み混み、早稲田松竹では空いててゆったり)の違いもあるとは思うけど、やっぱり作品によってスクリーン(劇場)との相性というのもあるのかも。ま、ただ単に早稲田松竹という劇場が個人的に好きだったりすることもあるんだろうけど、彼処で観るフィルム上映は何故か格別な気がしてしまう。デジタル上映ばかりになってからは尚更。おそらく映写室とスクリーンと客席との位置関係なんかが絶妙だったりするのかな。あと、自分の好みの座席からの眺めがまたかなりの好みだったりとか。でも、デジタル未導入の早稲田松竹が今後踏ん張っていけるかの心配が尽きないのも正直なところながら、フィルム上映オンリーで粘り続けつつ、濃密なラインナップに唸らせられ続けていたいとも思ってる。