2013年6月23日日曜日

フランス、幸せのメソッド 《Ma part du gâteau》

今年も「ほとんど公開予定作」ラインナップを残念がりつつも、ゲスト陣に華やかさが戻り、作品群もやはり充実してるし、なかなか濃密な四日間になりそうなフランス映画祭2013。WOWOWでの連動企画「フランス月間!2013」の矢継ぎ早には全く追いつけないものの、映画祭に気持ちを高めるべく観てみた本作。

セドリック・クラピッシュ監督作(2011)ながら、日本では劇場未公開で、昨年DVDがレンタル・発売された本作。先日、WOWOWで放送された。(予告編はこちら。)

主演は、『美しい運命の傷痕』『PARIS』『しあわせの雨傘』『パリ警視庁:未成年保護部隊(Polisse)』のカリン・ヴィアールと、『この愛のために撃て』『君のいなサマーデイズ』『プレイヤー』のジル・ルルーシュ。

20年勤めた工場が倒産して失業したシングルマザー(カリン・ヴィアール)が、リッチな敏腕金融トレーダー(ジル・ルルーシュ)宅の家政婦を務めるなかで「変わること」「変わらないこと」が、ストレートなベタ展開と仏蘭西的というかクラピッシュ節な変化球で目まぐるしく展開してゆく。テレビ局(カナル・プリュス)系列のスタジオ・カナルが制作・配給しているだけに、その辺は抜け目ない。しかし、クライマックスの展開やエンディングなどはハリウッド・メジャー的な落としどころとは一味違い、好みは分かれるだろうし、ポピュラリティは減じられるだろうが、その手の「すかし方」も私は嫌いじゃない。とはいえ、「そう終わるなら、もう少し丁寧に誠実に真摯にテーマと向き合っても好かったんじゃぁ・・・」的後味は残るんだけどね。

フランスのダニー・ボイル(なんて言われてないし、ボイルの方が監督キャリアは後輩)としてのセドリック・クラピッシュのエンタメ色全開ヴィジュアルとニッチすぎずリッチすぎぬ選曲継投はやっぱり飽きとは無縁で進行する。撮影を担当しているクリストフ・ボーカルヌは、ここ最近では『ミスター・ノーバディ』や『さすらいの女神たち』、『チキンとプラム』といった印象深い画を届けてくれるカメラマン。カンヌ・コンペ選出&アカデミー外国語映画賞ノミネートながら未公開のままの『Outside the Law』でも撮影を担当していたりする。(観たい!)

ただ、本作最大の見どころは、序盤の僅かな出演ながら魅了が後を引きまくるマリーヌ・ヴァクト!彼女は本作が映画デビューのようだが、今年のカンヌ・コンペに出品されたフランソワ・オゾン最新作「Jeune & jolie(Young & Beautiful)」の主演に大抜擢された最注目女優のひとり。着衣でも十二分に漂っていたアンニュイ・フェロモンが、あんなたわわがあらわであらら・・・早いとこ公開してください。