2014年1月8日水曜日

13日終了の展覧会

13日(月曜というか祝日)で終了してしまう展覧会で、とても心に残ったふたつ。

一ヶ月前に行った時には、(平日の昼~夕方)とはいえ見事なまでの閑散具合がむしろ神秘的にすら感じられた「ジョセフ・クーデルカ展」(国立近代美術館)。昨日(7日)の夕方に行くと、随分と賑わっておりました。駆け込みなのか、口コミなのか。そんな盛況ぶり(?)もあってか、図録も売り切れ。自分用には先月購入済ながら、もう一冊必要になったので買って帰ろうと思ったのに残念・・・と思いきや、予約販売なるものが。その場で図録の代金(2,200円)を払い、送り先を記入した用紙を渡すと、後日郵送してくれるのだとか。しかも、送料無料(美術館負担?)。ただし、「10日ほどお時間を頂く」とのこと。その予約販売は際限なく実施するのかは不明だが、とりあえず昨日の閉館時刻にはミュージアムショップでそこそこの人数が申し込んでおり、私は70番台だった。
いやぁ、しかし、本当にこれはしっかりと言葉を残しておきたくなる、おくべき展覧会だと改めて感じ入り、そう記すことでセルフ・プレッシャー。昨年の写真展ではマリオ・ジャコメッリ写真展と並ぶ、胸いっぱいの愛。

もう一つは実に地味だし、随分と小ぶりな展覧会ではありますが、サントリー美術館で開催中の「天上の舞 飛天の美」。どんな内容かと言うと・・・Webサイトの展覧会概要よりそのまま転載すれば、「空を飛び、舞い踊る天人は「飛天」と呼ばれ、インドで誕生して以来、優美で華麗な姿で人々を魅了し続けてきました。本展覧会では、地域・時代を超えて展開 した飛天の姿を、彫刻・絵画・工芸の作品によってたどります。中でも、京都・平等院鳳凰堂の修理落慶に先立ち、堂内の国宝 《雲中供養菩薩像》を特別に公開 いたします。さらに、国宝 《阿弥陀如来坐像光背飛天》を寺外初公開し、鳳凰堂内の絵画・工芸表現とともに、平安時代の飛天舞う浄土空間を立体的に展示いたします。屈指の名品を間近に鑑賞できるたいへん貴重な機会をお見逃しなく。」

サントリー美術館には昨年の「谷文晁」展が抜群にエキサイティングな内容で、爾来異様にお気に入りの空間となり、今回の展示における「場」が放つ神秘もたまらない。とにかく、そもそも魅力的な空間(空気)である上に、一点一点を「浮かび上がらせる」照明の妙。2013年最優秀ライティング賞。そして、このテーマ、このイメージを今浴びる意義。それは、まさしく『かぐや姫の物語』の「再生」。あの世界観を自ずから反芻せざるを得ない、語り合い。「雲中供養菩薩像」等は、実際に平等院鳳凰堂で展示(?)されている場合は、かなり上の方を見上げる形で眺めねばならないようなのだが、今回の展示では間近でじっくりと視ることができ、その一体一体が放つ個性や自由に胸躍る。

一般の当日券は1,300円。この展示だけでは正直割高感に思えなくもない価格設定な気もするが、サントリー美術館のメンバーズ・クラブというのがあり、年会費5,000円で一年間入館フリーパス(同伴者1名も無料)。他にも色々サービスがあるみたいだし、昨年から高まった私の日本の古美術愛好熱もあいまって、入会してしまったよ。しかも、閉館1時間前になろうかという頃に着いて申込手続きをしたものだから(余裕もって行かずにすみません)、受付を担当してくれたスタッフの方は随分と気を遣ってくださり、細やかな配慮も適宜な中、優雅ながらもスムーズに手続を進めて下さいました。好感、そして多謝。ここは(というか、日本の古美術系展覧会全般に概ね言えそう)、入館者の鑑賞態度というか雰囲気も実に落ち着いているし、六本木のオアシスとしてもこれから重宝しそう。